*病室の窓(7階)からの景色*
入院中、検査の度に違う技師や、次々とシフトで交代する看護士さん達や、麻酔の専門医や、婦人科のオペ執刀医に、次々と顔を合わせる毎に最初に彼等が患者の私に向かって口にする、殆ど”合い言葉”のようなフレーズが
『French or English?』
で、
「English, please」を繰り返す私は、何だかまるで”英語しか喋れないアメリカ人”的な心境で、意味も無く後ろめたい気分にさせられた。
実際、私のアメリカ人の知人 Kitty などは
「2カ国語を話す人をバイリンガル。
3カ国語を話す人をトライリンガル。
では、
英語だけを話す人を何と呼ぶでしょう〜?」
なんてクイズを出しては、
「正解は、、、ずばり、アメリカ〜ン!」
と自虐的なお笑いネタとして言ってるくらいだし。
当の医療スタッフ達は、と言えば、まぁ大概そこそこのバイリンガルで、フランス語を主として英語も少し出来ると言うパターンが多い。
でも、実際には英語が苦手なスタッフと言うのも結構いて、彼等がたどたどしい英語で説明してくれたりすると、フランス語が苦手な私は何だか申し訳ないような気持ちにさせられたり。
ステレオタイプの北米人のイメージを裏切って、
「英語が下手でゴメンなさいね」
なんて言ってくれちゃう繊細な神経を持った人ってのも結構多くて、こっちが逆に感動させられたり。
そんな時には勿論、
「ううん。こちらこそ、フランス語が解らなくてゴメンなさい」
と言って、お互いに”諦め笑い”を交わし、”私たち同等ね”みたいな暗黙の”引き分けコンフォート・ゾーン”に落ち着く。
こういう時、つくづくケベック州で良かったな〜と思う。
英語だけの単一言語圏で、英語の苦手な人が受ける冷遇みたいなものがここでは余り無いし、2カ国語圏だから、人々は、他言語を話す人に対して理解と尊重と寛容性がある気がするから。
とは言え、たまには例外の場合も勿論あって、私のベッドサイドにやって来た体格のいい一人の看護士は何だかとても無骨な態度で、
「なぁにアナタ、英語しか解らないっていうの?え?」
みたいな強烈なオーラを私に向かって発した。
私は心の中で「ひぇ〜、勘弁して」と思いながら、
「I'm sorry, but I don't speak French...」
とちょっと卑屈な気持ちになってたら、背後から、たまたま居合わせたDavidが突然フランス語で、彼女に向かって、
「でもね、彼女は日本語 ”も” 出来るんですよ!」
と言ってくれて、思い掛けずプチ感動。
あぁ〜、やっぱり言語っていっぱい出来るに越した事はないわね。
それが例え自尊心や自己防衛の為だったとしても。
2 件のコメント:
素敵なご主人様(この尊称に他意はありません。)ですね。
" but I don't speak French... " はちょっと意外な感じがしました。
ケベック、良いところみたいですね。
Lucky Mさん
ほんと、いつも日本語で配偶者の事を何と書くか?は結構な難題だったりしますよね。
特に第三者の”ご主人”の場合とか。(笑
主従関係のない”適語”がなかなか見つからず。
仏語は”初級クラス”を2度とりました。
1度目は撃沈。
2度目は76%。
病院での会話は難しいです。
でも、絶対に”I can't speak...”と言わないところが負け惜しみ。(笑
ケベック良いとこ一度はおいで〜♪こらしょ♪
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