2013年7月15日月曜日

プールとフレンチ・マダムと

夏がやって来ると毎年、裏庭の隅にある 'aboveground' 型の「プール開き」の準備をする訳なんだけど。

これまではずっと Davidの仕事だったからプールに関する全ての管理は彼に任せっきりだった。

いざ肝心の彼がアメリカへ単身赴任で留守になってしまい、手順や方法の指示を貰った息子 Kaitoの担当となったものの、何ぶん経験のない今月16歳になる彼にとって、今一つ要領を得ず半ば途方に暮れる状態を体験してた。

何しろ、たかがプールとは言え、数種の薬剤を投入して水の状態を安全に泳げるレベルに維持しなければならず。

ほら昔、小学校のプールで水泳の時間に体育の先生がプールの水を少しだけ取って、反応薬を加えて色味具合のバランスを見たり、リトマス試験紙状のものを入れて反応度を見極めたりしてたように。


とにかく、7月の初めに、冬の間じゅうでプールを覆っていたカバーを取り外し、水位を2/3くらいに減らしておいた分の水を注入し。

"Chlorine/クロライン"(日本語で「クロリン」と呼ぶ塩素)を初期的に大量に投入するも、水の色はまだかなり深い緑色で。


プールの水を濾過して循環させるフィルター・ポンプも稼働させ。

時間の経過と共に少しずつ水が浄化されて行くのが色の変化で分かるものの、まだまだ「ブルー」には遠く。


フィルターを掃除したり、水面に浮かぶ木の葉や虫を専用の網ですくい取ったり(skimming)、ホースを使ってポンプを "vacuum"に操作しプールの床を掃除機がけしたり、 'backwash'(逆流させる)で水圧の調整したり、Kaitoにとっては初めての作業も多く手探り状態な感じ。

勿論、私自身も素人だから見守るだけ。

水の色が「濃くなった」だの「透明感を増した」だの「青みを帯びた」、「緑がかった」だのと一喜一憂しながら。


本当に 'helpless'な感じの私は、プールの写真を撮ってミネアポリスの Davidにメールしては
「本日の水の色はこんな塩梅ですが、どうしましょう?」
ってな感じに指示を待ったり。

そんなこんなでようやく青みを帯びて透明感も出て来た頃、一気に水底の緑色を処理しようと、Kaitoと Erikaと私の三人掛かりで再び意気込んで 'vacuum'作業を実施。。。


・・・したのはいいんだけど、底からこそげ落とされて水中に浮かんだ緑の「藻」が大量過ぎて、プール全体が汚れた緑色に逆戻り。


がっくし。。。

もういい加減こんな事ばかり何度も繰り返したので本当に意気消沈。

だって、まるで唄の歌詞みたいに「3歩進んで2歩下がる」の繰り返しだから。

いや、「3歩進んで3歩下がる」とか「3歩進んで4歩下がってる」感さえあるし!

なんか不安でいっぱい。

一体いつになったら「ブルー」を目にする事が出来るだろう?

そしてちょっとだけパニック・モード。

ひょっとしてこのまま緑色をしたプールで夏が終わるんじゃ、、、?


そんな風に失意と不安のまま、物置小屋から薬剤のバケツを持って来てプールに投入しようとしてた Kaitoの前に現れたのが、北側のお隣に住むフランス系の奥さん(=マダム)。

英語を話さないマダムが何やらフランス語でまくしたててる。

どうやらプールについて何か助言をしてるらしい。

何しろ、うちの両隣にはそれぞれ同じタイプのプールがあるし、既にその両方が透き通った綺麗なブルーをして、何度も楽しそうな笑い声と共に元気な水音を立ててるのを聞いてる。

特にマダムはほとんど毎日と言っていいくらい、欠かさずセクシーな?ビキニ姿で泳いでるし。

私よりもかなり年上かとは思うんだけど、泳ぐ時には常にビキニ姿のマダムのカラダには幾つかの "tattoo"まで入ってる。

とにかく、「今からそっちに行くからっ!」と有無も言わせぬ勢いでウチにやって来ると、颯爽と玄関から裏庭のドアに向かって履いて来たサンダルのまま抜けてプールに向かうと、ポンプやフィルター、水の色を身近にチェックした後、唐突に「大きなバケツある?」って。

自慢ではないけれど、これでもフランス語はちょっと習いました。

えっと、初級フランス語は少しだけ喋れます、ワタシ。

なので調子づいて、物置のバケツを取り出し
「Comme ça?」(こんな感じの?)

なんて言ってみたもんだから
「Oui, oui」(そう、そう!)

マダム、私がフレンチを結構理解出来ると誤解してベラベラと早口にフランス語で再びまくしたて始め。

言葉が理解出来ないって無能さを思い知らせれる瞬間。

情けなかぁ〜。

そして私の秘密兵器が登場。

じゃ〜〜〜ん。それはうちの仏語が得意な娘 Erika 14歳。

彼女に仏語と英語での通訳をして貰う。

何しろ、初歩的な仏語が出来る私でも、「Je m'appelle Mayumi」だの 「Je suis japonaise」だけでは初対面の挨拶程度限定で話のらちがあかず、実際的な日常の会話にはとても不十分な現実だから。


そして結局、翌日と翌々日に再びマダムがやって来て、色々と甲斐甲斐しくプールの面倒を見てくれて、助言や指示をしてくれた。

そんなこんなで起きた朝にプールの水がようやく「真っ青」になっているのを見た瞬間の感動と言ったら。


とにかく一度、透明な青になってさえしまえば、あとはそれを上手く維持するだけ。


その後、日中の気温も上がり、水温も30℃まで上がったり。

エアコンの無い我が家にとって涼をとる方法は、気温が一定に低くて涼しい地下の部屋に潜るか、あとは水に飛び込むか、ってとこ。


暑かった今日はほとんどもう一日を水着姿で過ごし。

どうせ汗をかくので水着に着替え、水着姿で掃除機を掛けお掃除して、合間に泳いで、寛いでアイスクリームでも食べ、また家事をして暑くなったら泳いで、、、そんな繰り返しで。

とどめに今夜の夕食は余りの暑さに降参、それぞれ自分のプレートを持って地下のファミリールームへ避難すると、例外的にTVを観ながら(普段ダイニングにTVは無いから)のカジュアルな晩餐。

こんな体たらくも夏ならではの解放感で「安上がりなリゾート気分」ももれなく付いて来るし良しとするか。うん。


1 件のコメント:

まゆみ さんのコメント...

「終わり良ければ全て良し!」って言葉が読み終えて頭に浮かびましたよ。

それにしても、大変な作業でしたね~。手慣れている方は、このマダムのようになんなくやってのけるのでしょうが、初心者には難しいですよね。

こんな時、「来たぁ~。フランス語!」って自分の住む居住地を改めて思い知らされたりするんですね~。私なんかもガ・ガーーンってくるだろうな。その点、まゆみさん家には、仏・英語を巧みに話すお嬢さんがいて本当に良かったですね。

ともあれ、透き通るようなブルーのプールの水とその周りの光景が、素敵な夏を感じさせてくれました。

こちらはもう毎日、タンクトップとシャワーとかき氷で生き延びてるような毎日です(泣)

火災報知器の点検も終わり、ちょっとお昼寝しようっと。