2011年12月2日金曜日

The Descendants

*IMDbよりの画像*

火曜日の晩はNewcomers Clubの映画の会で、 George Clooney主演の映画『The Descendants』を、何と今回は15人くらいの参加者で一緒に観て来た。

映画の後はいつも通り、近くの『Tim Hortons』に寄って珈琲を飲みながらお喋りして。


何だか意外と多くのメンバーが口にしてた映画の感想は、割りと「掴みどころが無い」ので「好きとも嫌いとも言えない」そんな感じで、ちょっとビックリした。

だって、私的にはもの凄く気に入って、好きなタイプの作品だと感じたから。

まぁ舞台がハワイってのもあって、6時間程度で行ける日本人にとっては身近なリゾートも、欧米人には馴染みが薄い場所なのかも?ってのを改めて感じさせられた。


頻繁に海外のリゾートに出掛けてる印象のメンバーの中で、特に Julieとの会話の中で、興味深そうにハワイについて聞かれたのがちょっと意外な気がしたけれど、考えて見ると、やっぱり多くの北米人(特に東海岸在住)にとってのリゾートと言うと、短時間で気軽に行けるフロリダやメキシコ、カリブ海の国々なんかが主流で、わざわざハワイまで遠出する人は少ないのかも。

Davidに言われて「確かに!」と納得したのは、せっかくのバカンスにわざわざ時間を掛けて遠出してハワイまで出掛けても、勿論トロピカルで素敵な場所には違いないけれど、そこは結局「アメリカ」なんだってこと。

南国としての異国情緒は確かにあるにしても、言語や食事や文化には余り目新しい刺激が無い分、その程度の「外国旅行」気分しか味わえないのであれば、ちょっと南下し国境を越えてニューヨークやボストン、リゾートならフロリダで充分、お手軽に楽しめるって訳なんだろうな。


まぁ、そういう私も一度しか行ったことのないハワイではあるけれど、オアフ島だけに留まらず、まるでtaxiみたいに気軽に飛んでる国内路線の小型飛行機に乗って、"Big Island"ハワイ島や他の島にも滞在(ホテルではなくコーヒー農園とか)して現地での生活を味わった分、旅の想い出は印象深く、特別な愛着のようなものを未だに感じてる。

なので全編ハワイが舞台のこの映画、色んな場面で懐かしい親しみをもって楽しんだって部分は確かにある。


いずれにしろ、映画の話しに戻ると、地元新聞 Montreal Gazetteで T'CHA DUNLEVYと言う記者が『The Descendants』について書いた映画評論をたまたま読んで、凄く共感した、と言うか謎が解けた部分は、

"Alexander Payne is a master of understatement.  The director likes to creep up on you, as he did with his unlikely 2004 hit Sideways.  …the opaquely titled,…"

なるほど、この監督の作品って典型的な単刀直入で解り易いハリウッド映画とは違う感じ?

控え目で間接的で。

特にこれはカーチェイスもアクションも、表立ったロマンスも無いし、静かに淡々と進む"Family Drama"のカテゴリーでありながらも、それなりに笑いや泣かせるツボは押さえてる、みたいな部分ではちょっと邦画的。

そして地味で慎ましい作品のくせにしっかりアカデミーにはアピールするって辺りも含め、やっぱり『おくりびと』に似て、「日本人ウケ」する映画だろうと思う。

派手さは無いけれど、人間の感情とか葛藤とかの目に見えない部分の人間模様を少しのコミカルな笑いと涙で丁寧に仕上げてある、そんな感じ。


何しろキャスティングが上手くて、でも、映画監督として、同様に監督業をこなす役者(この場合George Clooney)を使うのって、演出とか多少の演技指導みたいなことをするのって、やり難いんじゃないかなぁ〜?なんて素人的に思っちゃうんだけど。

とにかくGeorge Clooneyと、彼の二人の娘役(Shailene WoodleyとAmara Miller)3人での絡みを見る限り、子育てに悩みつつ真摯に向き合うClooneyの父親像ってのは「凄くあり得る!」ってくらい自然で微笑ましく、説得力があった。
(勿論、彼はプライベートで独身を貫く主義らしいケド)

この女の子2人の姉妹がどちらもハマり役で、Woodley(長女役)は最近人気のEmma Stone系の顔?って一瞬思ったけれど、Miller(次女役)は年相応の子供らしさを上手く演じていて、時々ちょっとふてぶてしい感じとか、食べ方が汚いところとかも演出だとしたら凄い。

あとは何と言ってもWoodley(長女)が家に連れて来たBF"dopey surfer boyfriend", Sid役のNick Krauseの存在がサイコーで、最初は何て冴えない役だろうって印象で、なんで彼をわざわざ登場させるのか?まるで予測出来なかった。

鈍くて無遠慮で気の利かない典型的な今どきの男の子だと思った Sid(Krause)が、実はそれなりに繊細で素直で配慮のある若者に見えて来るプロセスは醍醐味。

結局、どんな人間も単純に善いとか悪いとか好きとか嫌いとかではなく、自分との利害関係とか状況や視点の変化によって、その人物評価に影響を与える現実は、特に私にとって永遠の課題であり興味深い。


家族として機能しながら夫婦の信頼関係を維持するってのも、なかなか現実の世界でも単純では無いけれど、だからこそ、映画の中で最後にClooneyが妻にかけた言葉に泣けた。

"It would be dark if it weren't funny.  Payne keeps the tone light…"

題材としては暗くなり得たかも知れないストーリーを敢えて軽めに。

Clooneyならではのオトナで嫌味の無い、時々、必死で切羽詰まった感じの場面での余りにも人間臭い言動に思わず「くすっ」となるような、まさしく"Charming feel-good film"で間違いない。うん。

ファミリー・ドラマ好きの日本人には特におススメ。

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