少し前に遡る話。
息子は6月5日に高校を卒業する前日、つまり4日が、授業の最終日だった。
日本の学校のように終業式みたいなものはまるでなく。
因に、彼が最終学期で受講していた科目は5つ。
これまた日本の普通高校に通う3年生、特に大学受験を視野に入れた学生たちが勉強する授業とは、かなり違ってる気がするので話の種に書いて見る。
まずは、Physical Education(体育)、そして、 Painting and Drawing(美術:主に絵画とデッサン)、Astronomy(天文学)、Graphic Design(グラフィック・デザイン)、American Government(アメリカ政治学)、とこんな感じ。
今学期は、驚くことに英語も数学も科学/化学も地理も歴史も無し。
学年度の最終学期と言うこともあり、選択科目が多かったみたいで。
とにかく。
その数週間前に息子から
「グラフィック・デザインの授業のプロジェクトで、材料費が $35必要なんだけど」
と言われたので、学校宛の小切手を切って持たせた。
話によると、自分でデザインしたTシャツと、同じく自分でデザインしたマグカップの作成をして、仕上げて採点して貰った後、家に持って帰る、、、と言うので楽しみにしてた。
なので、学校の最終日に帰宅した息子が手ぶらで拍子抜け。
「Tシャツとマグは?」
と訊いたら、
「講師が不在で工程の手順が分からず、仕上げる事が出来なかった」
とか何とか、ったく十代の男子の説明には説得力が無いったら。
とにかく、腑に落ちなかったので、学校のウェブサイトを通して教諭に問い合わせのメールを送ったところ、彼女のお母さんの健康状態が良くないらしく、授業に出られない日が何日かあったとのことで。
それは避けられない不可抗力として、代理の教員やアシスタントにきちんと指示がなされてなかった様子が残念で、とにかく私としては、せっかく息子が作ったデザインがあるのだったら、材料費も支払っている事だし、卒業の記念にもなるので、何とか2つのアイテムを仕上げさせてあげたく、その為に必要であれば、ヴォランティアをして手伝いに学校へ出向く用意がある旨を伝えた。
息子は既に卒業してしまったものの、在校生の授業は引き続き行われていて、選択科目であるグラフィック・デザインの授業は学年が混合なので、11年生とか10年生とかが息子と同様のプロジェクトを仕上げてるはずで。(息子は12年生だった)
教諭との合意のもとに、学校の最終日に息子を伴って学校を訪問。
卒業したばかりの学校へ再び登校するのが妙な気分らしかった息子だけど。
しかも親を同伴して、とか。
学校の正面玄関のセキュリティでは、「訪問者」として顔写真を撮られ、即座に印刷されたステッカー式の名札を胸に貼ってパス代わりに。
気分はまるで授業参観なんだけど。
グラフィック・デザインの教室に行くと担当教諭のフィネガン先生がいて、初対面の挨拶と握手を交わした後、他の生徒たちの作業を見学しつつ、手伝ったり。
彼等にとっても学校の終業日と言うこともあり、教室の机の上には大量のドーナツが箱入りで置かれ、セルフサービスで食べ歩く生徒たちは、勿論、制服などと言うものを着ている訳でもなく(プライベート・スクールではないので)、特に夏場と言うこともあり、至ってカジュアルで、多分、一般的な日本の高校生やその父兄が見たら、腰を抜かすような驚きかと思うくらいにリラックスしてる。
とにかく、お節介に他の生徒たちの作業も手伝いつつ、息子が仕上げたマグカップを持ち帰ることが出来た。
ま、駄洒落っぽいコピーで。
とあるゲームソフトをプレイする人には解るオチらしいデザインなんだそう。
あとはTシャツのデザインをプレスする工程を見るのは初めてで興味深かった。
*確か200℃くらいだったと思うけど、高熱で数分間プレス*
何しろ、義理の父はかつて広告代理店を営んでいたので、一応グラフィック・デザイナーであったんだけど、私自身もデザイン関連には色々と興味があり、息子のように高校で実際的な授業が受けられる環境ってのが羨ましくもあり、一体それがどんな現場なのか?見てみたい欲求もあった。
実際に足を運んでみると、案の定、多数のMacが装備されていて、シルクスクリーンの機械だとか、割りと大掛かりで本格的な機器も揃ってて感心してしまった。
日本の多くの高校みたいにアカデミックではないにしろ、実社会で役に立つかも知れない技術や知識を早い時期から体験することが出来る利点は大いにある気がする。
ま、そんなこんなで熱転写されたデザインで仕上がったTシャツも持ち帰り。
たまたまうちに滞在してたグラフィック・デザインの元プロの義父にアイテムを披露して、コメントを貰ってた Kaito。
ま、当時と今とじゃ手法もデザインの傾向も何もかもが違うンだろうけれど。
何しろ義父の時代では、多くの仕事がマニュアルだったらしいから。
Photoshopなんかも無かっただろうし。
6月の中旬に郵送されてきた通知表で、グラフィック・デザインの評価が「A」になってた、、、ってのはちょっとしたおまけ、なのかどうか。
2 件のコメント:
本当にアメリカっぽいですね。
日本で教育を受けた私たちにとっては理解できないことが多いですよね。
息子の友人が学校を1っか月休んで祖父母の家に遊びに行くと言ったら
先生が良い社会勉強になると言っていたと・・・・
そういう考え方もあるのだと思いましたが、ただでさえお休みが多いのに
いつ勉強するのだ?とつい思ってしまいました。
家の息子も一応デザイナーで、ユニホームのデザインも時々頼まれるみたいです。
yanaさん♪
カナダでの価値観に適合するのに割りと時間が掛かったンですが(笑)、アメリカに引っ越してみたら、また更にその上を行く日本との違いで、再び、自分の中の常識や価値観を修正する感じです。
日本でイジメにあったり、窮屈な学生生活を強いられてる子供たちを考えると、やっぱりどうしても比べてしまいますが。
日本でもし、自殺を考えてるような生徒たちがいたら、是非、北米に交換留学して欲しい気持ちでいっぱいです。
人生が楽しむ為にあるんだってことを、改めて実感出来るような。
なので、勉強もさえ、楽しみながらする、と言うか。
やりたい時にすればいい、と言うか。(笑
ま、医者や弁護士を目指すような場合には、必死で勉強するんでしょうけれど、多分。
才能を活かして、それを職業に出来るって理想ですよね。
プロのデザイナーという職種、(勿論ご苦労もあるでしょうが)羨ましいです。
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