2013年2月25日月曜日

和のクリムト風

地元のラグ・フッキングのギルドに在籍して、普段は「幽霊会員」として、定期的に姿を見せること無く、飽くまでも気紛れに、気の向いた時だけ何の前触れも無く現れる、、、かなり "low-key"な私なのではあるけれど。


少し前、会長のルイーズさんからメールを頂き、いつもの落ち着いた彼女にしては珍しく、ちょっと興奮気味なそのメッセージの内容は、

「ギルドに新顔の参加者があって、とてもラグ・フッキングに興味をお持ちのようなのだけれど、何と! その方、アナタと同じに日本からいらしたんですってよ! しかも、彼女の名前もアナタと一緒で『マユミさん』とおっしゃるんですって。 とにかく、来週もいらっしゃると言って帰って行ったから、是非、アナタも来週はいらして、彼女に会ってみたらどうかと思うんだけど。」

ってなもので、
日頃、日本人にはほとんどお目に掛かる機会の無い私にとってもビックリ、しかも、名前まで私と同じで、その上おまけにラグ・フッキングにも興味があるだなんて、何だか三重の偶然が重なった気がして。


この辺りでは依然として希少な存在感のある日本人であるから、こうして周辺の人々から気に掛けて貰えるのはある意味ちょっとした特典と言う感じで、何かと日本絡みの情報を伝えて貰えるのは有り難い。


そんな訳で、早速、出席したミーティングにて、もう一人のマユミさんと初対面し、何度かメールの交換を経て、今日は再び彼女と一緒にミーティングに参加し、その後でランチにもご一緒して頂いた。

驚いたのは、「もう一人のマユミさん」は暫く前に私のこのブログに出逢い、以来、時折覗いて下さっていて、それで私が時々書き綴るラグ・フッキングと言うものに興味を抱いて下さり、ギルドを訪ねて下さった、と言う経緯を知ったから。

その証拠に、私について、私の私生活や歴史、過去のエピソードについてもご存知で、何だか気恥ずかしいやら不思議な感覚で。


まさか、こんな身近な所で、こんな個人的なブログを読んで下さってる見ず知らずの方がいらっしゃるとは、思い掛けなかったから。


いずれにしろ、ランチのお喋りは勿論、ギルドのミーティングにも一緒に出席することが出来たのは、とても楽しかった。


普段、人の集まりの中に一人で出席するような場合には、集団の人の波に飲まれないよう意識して気を張って、心に鎧をまとってるようなところがある自分をつくづく感じさせられた。

自分がマイノリティの日本人としての現実に対するコンプレックスみたいなものや、自分にとっての第二母国語でのやり取りと言う不利な状況で打ち負かされないよう本能的に働く自己防衛の意識みたいなものや、単刀直入な物言いの英語と言う言語を操る為のアグレッシブな態度とマインドセッティングみたいなものや、そんなあれこれを未だに状況に応じて搭載装備してる私は、だから時々、必要以上の疲労感に襲われるんだろうけれど。

今日みたいに、不特定多数の人が集まる場所に「自分以外の誰か別の人と一緒に出席する」と言うのは、その「仲間意識」的な安心感からか、気負わなくていい分とてもリラックスして、他の人々とも穏やかな気分でゆったりと普段の自分のまま接する感じが心地良かった。

普段は漠然と無我夢中なまま手探り的にサバイバルしている異国での移民生活ではあるけれど、長年暮らしても尚、こうして時々、自分の中の屈折した深層心理的な、精神的なストレスの原因の発見に出くわしたり、普段、悶々としている謎の答えが突然、目の前に現れてハッとさせられたりするのは面白い。


地元のラグ・フッキング・ギルドの会員は全体で40名余りと比較的、小規模なグループではあるんだけど、にも拘らず、私にとっての問題は、メンバーの顔と名前が未だに一致しないと言うこと。

大多数のメンバーは年配の白人女性群で、何しろ背格好や髪型、着ている服の傾向まで似た人が多いから。

そんな中でも、特に気が合って会話が弾むような人とは、勿論、近しい間柄にもなったりするけれど。

私にとって、クレアさんもそんな一人で、今日も話の流れから、ラグ・フッキング以外にも楽しんでいる手工芸について、お互いの創作活動に興味が沸き、次回は作品を持ち寄って "show & tell"(作品発表会)をすることになったり。


最近、新しくメンバーになった私たちと同世代(ギルドの中では比較的、若い)での、リタさん(北欧出身)とティーさん(UK出身)の二人の存在も、目新しく刺激になって嬉しいし。

特に今日、初めて話す機会のあったティーさんは、つい最近までご主人の仕事に伴って、ご家族揃って中東の国に数年間住んでいたらしく、その後、カタールに転勤になったご主人は現在、単身赴任状態で、ティーさんとお子さんたちだけがカナダに在住と言う状況は、まさに昨日、私がブログに書いたばかりの傾向を裏付ける感じで、思わず唸ってしまった。

どんどん地球が小さくなって、家族が別々の国で暮らす形態も珍しくなくなって、、、っていうやつ。

「幸せ」の尺度やカタチも益々、人それぞれなんだろうな。



今日、ギルドに持参した作業中のラグは、大好きな「クリムト」の作品に触発された私にとっての実験的な作品で、"hooking"作業を進めるのと同時にデザインを進化させて行く作戦で、仕上がるまで最終的な図案が未定と言うカタチ。

*和風とクリムト風のコンビネーションなラグ*


「クリムト風」なので、色彩としては黒と、金色に近い感じの黄色からカラシ色、茶色に掛けての色合いが主で。



0 件のコメント: