たった3泊4日の小旅行だった割には、私にとって初めての Las Vegasは見所が多過ぎて、刺激が大き過ぎて、帰って来てからも暫くの間、興奮冷めやらぬ感じで。
例え2時間とは言え時差の加減もあり、滞在中とても忙しく動き回った反動もあったのか、ちょっと普段の生活に戻る微調整が必要だった気がする。
やっぱり歳には勝てませんな。
いえ、特別に具合が悪くなったとかではまるでないんだけど、ちょっと気分が滅入って何をする気力もなくなってしまったと言うか。
ふぅ〜。まるで中年の我が侭病みたいだな、なんて自己嫌悪を感じながら。
体だけでなく精神的な脆さも感じさせられるお年頃のようで。
喜怒哀楽が激しかったりするのも気になるし。
そんなこんなで、時間が空いてしまったけれど、もう少しだけ楽しかった旅行の後記を書き留めたいと思う。
実は今回の Las Vegas旅行で密かに楽しみにしてたことがあり。
それは私にとって初めて『Cirque du Soleil』を観ること。
現在ラスベガスでは8ヶ所のホテル内で、それぞれ8種類の異なるショーを上演している『シルク・ド・ソレイユ』なので、その人気の高さが伺える。
カナダはモントリオール発祥のシルク・ド・ソレイユなので、観ようと思えば観る機会を(カナダの地元で)作ることは可能だった筈なのではあるけれど、何しろ観覧料が高価であるからして、そうそう気軽にチケットが買えると言う感じでもなく。
何しろ、観劇とか芸術に触れる体験とかは、日々の暮らしにとっての「必需品」ではないから、それ無しでも生きて行けることを考えると「贅沢」な気がして。
だって、家族4人揃って観に行ったら軽く7〜8万円以上はするし。
今回は Davidと二人だけだし、次回はいつべガスに行けるか分からないし、これはちょっとひと足早い結婚記念日を祝う旅行でもあるし、特別な機会であるから、と奮発して一番人気の『O』(オー)を観ることに決定。
8つのショーの中から『O』を選んだ理由は、演出の中に水が使われてるらしいところが神秘的な気がして、いつも何故か水に関る事に惹かれるから。
水はフランス語で "eau"(オー)であり、水がテーマのショーにふさわしく会場となるホテルは「噴水のショー」で有名な『Bellagio / ベラジオ』と、なにもかもが上手くコーディネイトされてる感じが憎い。
当初「一番安い席で十分」って思ってた貧乏性な私に、席をアップグレードする費用は一人当たり30ドル程度だし、滅多にないせっかくの機会ならば良い席の方が価値があるから、と Davidが言って、思い掛けず割りと良い目の席の予約をしてくれた。
夕方7時半開演のショーには時間があるので、まずは車を『ベラジオ』に入れて、近くの目抜き通りを散策して観光することに。
歩き回っていい感じに疲れた頃、車に戻って靴を履き替え、いざショーへ!
会場入りすると劇場の外部が彫刻の美術館のようになっていて。
開場の後、席が埋まる開演前のドキドキとした緊張感と高揚感。
開演の直前には、ほぼ全席が満席のように見受けられた。
正直、ショー初体験の私は何をどのように期待したらいいのかも分からないので、とにかく純粋な期待感いっぱいに、無垢な状態で素直に楽しみたい、それだけで。
真っ赤な色をした幕が上がると、情熱的でエキゾチックな音楽の連続で。
ステージの上には、幻想的な湖があったかと思うと、それは陸になったり、深い海になったりを繰り返し、色鮮やかな衣装や照明によって別世界でのストーリーが繰り広げられ、人魚たちのシンクロナイズされた泳ぎだったり、アクロバティックで妖艶なブランコだったり、驚くような高さからのダイブだったり、と飽きる暇もなく息を呑んで場面を見守る感じの迫力で。
それは言葉に出来ない程、美しく綺麗に躍動感に満ちて感動的で。
開幕後、直ぐに涙が込み上げて来た自分に気付き。
人間って、素晴らしいものを観て感動した時にも泣くものなんだって事、久し振りに懐かしく思い出した気がした。
プログラムの全てが終了して幕が下りた瞬間に、観客が一斉に総立ちの拍手。
感動が冷めやらないうちに会場を後にする人々の波の中には、私と同様、感情的になってる人も少なくない様子が見受けられて、同行の人に背中をさすられていたり、肩を抱かれていたり、満足感いっぱいの笑顔と共に。
購入して来たプログラムの背表紙に「An Ocean of Emotion」と書かれてた!
まさにその通り、って納得。
会場の外、カジノの中にちょっとした軽食がとれる店があり、夜食にクラムチャウダーのスープとサラダを注文。
どちらも予想外に美味しくてビックリ。
混み合ってたので相席になった年配の女性二人組は、長年で仲良くしている女友達だそうで、家族や日常を忘れ女同士3週間の旅行でオーストラリアはメルボルンからやって来てると言って、ちょっとだけお喋りに花が咲いた。
「袖擦り合うも多生の縁」とは言うけれど、旅先での出逢いには正に一期一会的なものを感じで、感慨深く思う。
旅には色んな種類の醍醐味が沢山あって、そういうものを味わう為に、やっぱりたまには旅に出るのも意義のある事だと改めて再認識。
ま、次はいつになるか、分からないけれど。。。
ラスベガス日記はまだちょっとだけ続く見込み。