2017年6月5日月曜日

編物と授乳と卒業式


昨日は晴天の夏日で、外気温は30℃を越えていたのは確実。

そんな中、私は自分でも「何をやってんだかなぁ〜」と自虐的に心の中でつぶやきながら、ウールの毛糸を相手に編物をしていた。


通称「クレイジー・カーディガン」のジャケットみたいに羽織るカーディガンで、部分毎に編んだピースをパッチワークして行って、腰回りはサーキュラーのスカートみたいに30枚の台形を繋げてるから、これが結構な重さで。

久々に「着るもの」としての大作を編んでる私にとっては、ちょっとした衝撃。

着てしまえば苦にならない重さではあるんだけど。

とにかく暑い真夏日でも家に籠って編物が楽しめる住環境で有り難いわ。

何しろ、最後に住んだカナダの家ではエアコンが無かったから。

代わりにプールはあったけど。

とにかく久し振りに編む大作だし、いつもながら行き当たりばったりなデザインなので、終盤の仕上げに取り掛かっても試行錯誤の連続で。

紆余曲折の後に結局、襟を延長させたフードにしてみる事にした。

ほぼ運命的にたまたま手元にあった毛糸が "NORO"のクレヨン・シリーズで、北米でもかなり人気の高い日本製で野呂英作氏デザイン又は監修の糸っぽい。

素材としての毛糸は色や素材感にも色々あって、自分の好みやプロジェクトとの組み合わせやタイミングには、こんなところにも一期一会的なものを感じる。

夜、静かな作業場で独り編物をしてると、その昔、まだ生まれて間もない Erikaに授乳してたその時の感覚が鮮明に蘇り、まるで関係ない行動に思える二つの体験が私にとっては、実はとても似通っている事を実感する。

ひと目ひと目編んで行く寡黙で孤独な作業である編物は、ある意味、瞑想の時間でもあり独特の幸福感に包まれた満たされた時間ではあるのだけれど、その作業は永遠に続く訳でなく、いずれ完成を迎えてしまうという結末に向かって少しずつ進んで行く訳で。

幸せな作業の渦中にあっても、終了した時の達成感と共に感じるのであろう、空虚感のような寂しさを予感してる。

作業から開放されて自由になってしまうと、次は何をしたらいいの?って感じになす術もなく路頭に迷うような心境、大袈裟に言うと。

呆然としてしまいそうな自分が想像出来る。

Erikaとの蜜月のような幸福な時が終わって離乳した時みたいに。

まぁそんな感覚は全てのプロジェクトに通じてる事かも知れないけれど。

万事に始まりと終わりがあるとすれば、与えられたプロセスを存分に悔いなく楽しむしかないんだろう。



先週の金曜日、Erikaは高校の卒業式を迎えた。


500人前後の同級生たちが一緒に卒業した。

残念なのは、卒業式の前日に同級生の一人:Declan君(通称が "Duck")が高速道路のオートバイ事故で突然、この世を去ってしまった事。

カリスマ的で人気者だった彼の突然の死は Erikaをはじめ、多くの仲間たちにとって余りにも衝撃的であり、黙祷を捧げた卒業の式典は一生、忘れることが無いだろう。



卒業式の後、Davidと私は遅い夕食に通りがかった和食レストランに寄った。

市街のレストランなので普段は縁が無いから初めて入った店。

その名もずばり『桜』。


そして、たまたま「卒業キャップ」に Erikaが施したデコレーションも、意外なことにどことなく和風で、桜を思わせる花の飾りだったと言う偶然。

書かれたのは Erikaが愛読する Sarah Dessenの小説からの "Quote"で、

"The Truth about Forever is that it is happening Right Now"と。

Erikaなりに込めた想いがあるんだろう。



因に、私が食べた「弁当」には沢山の天麩羅、鮭の塩焼き、照り焼きチキンが入り、これにご飯と味噌汁、サラダが付いて20ドル前後だった。



昨日は昨日で、Davidと二人でメキシコ料理店にての晩ご飯。

日本料理の倍くらいの量で半分くらいの値段で、やっぱりメキシコ料理って割安感があってお得感いっぱい、ってのを実感。


4 件のコメント:

yana さんのコメント...

NOROの毛糸ユザワヤでよく見かけます。買ったことはないけど・・・・
そちらでも人気だとは知りませんでした。すごいですね。

私も暑すぎたり寒すぎたりすると外に出ないで家で黙々と・・・と言うことがよくありますよ。
ニット・・・大作ですね。完成を楽しみにしています。

一昨日,NHKのつるべいさんの家族に乾杯という番組で私の故郷が出て、
知り合いの漁師さん(代が変わっていましたが)の家族が出て子供のころを思い出しました。
良く新鮮なお魚をいただくので、母に言い使ってお返しの物を届けに行った時、
海に沈む真っ赤な夕日に向かっって自転車をこぐのですが、目や口にも入っちゃうんじゃないかと思うほどの
赤とんぼの大群に遭遇したことがありました。
なんか自転車を一生懸命こいでいる12,3才だった自分の姿が客観的に映像で浮かんできて不思議な感覚でした。人間の記憶って面白いですよね。

エリカちゃんおめでとうございます。
それにしてもお友達は残念でしたね。
息子もそちらの小学校に行っていた時、同じ通りで時々遊びに来ていたクラスメートが亡くなり
すごくショックでした。
日本に帰ってからはそんなことがなかったので、アメリカではやはり交通事故で亡くなる方が多いのかもしれませんね。
  
関東もいよいよ梅雨入りです。

ミリンダ さんのコメント...

エリカさん ご卒業おめでとうございます。
同級生の方の悲報はエリカさんのみならず先生方 卒業生たちにとってはショックな出来事でしたね
私も読んでいて一瞬 えっ と驚いて 胸が痛みました。

今は世界中で色々なことが頻繁に起き辛い時代ですが やはり身近に起きた事は一段と身につまされますね。



Mayumi さんのコメント...

yanaさん♪

NOROは糸に撚り込まれた色の配色とか、色具合とかが、やっぱりどことなく異国的な綺麗さがあったりするのかな、なんて思います。
あとは色の名前も和名でエキゾチックだったり。
単純に「日本製」って看板の魅力もありそうですが。

ニット、応援して頂いてありがとうございます。励みになります♪(笑

yanaさんにも素敵な想い出が沢山おありなのですね〜。
海に沈む夕日とか、赤とんぼとか、素敵なモチーフですね。
記憶は、本当に興味深いものですよね。関連性とか。
味覚や臭覚には強く関連した場面の記憶があるのかな、なんて思います。
その味やその匂いで、一瞬に過去の場面に戻れる、と言うか。
まるでアニメ『ラタトゥイユ』の世界ですが。(笑

ありがとうございます。
ご存知のように米国では、15歳くらいから車の運転を始めますし、オートバイはヘルメットが義務付けられてませんし(Erikaの友人は着用してたとの事ですが)、日本との違いはあるかも知れませんね、実際。

あら、もう既に梅雨なのですね〜!
紫陽花の綺麗な季節になりますね〜♪

Mayumi さんのコメント...

keiko ミランダさん♪

ありがとうございます。
同級生の訃報は、本当に他人事ではなく、娘と一緒に泣いてしまいました。
式の最初にもアナウンスがあって黙祷しながら、やはり涙が出てしまい。
人の死はインパクトが強いですね。
世界のニュースなどもそうですが、改めて生きてる事に対する感謝の念が深まりますね。