2011年6月14日火曜日

ピアノで日本へ寄せる想い

玄関先に毎朝、配達される朝刊とは別に幾つかの「地域版」規模の新聞があって、たまたま先週、Davidが町の図書館に借りてた本を返しに行ったついでに最新版の『Your Local Journal』という、名前そのまんま・・・みたいな地域新聞を貰って来た。

それで週末に、まぁ、地元に密着した内容の記事だから、、、と、一応、目を通してたら、見出しに目が留った。

*どうしてもやっぱりつい目に留る"Japan"の文字*

内容は:
「Local pianist, Leon Alatif, will be presenting his first solo recital on Sunday June 12 at Hudson's St. James' Anglican Church Hall.

Alatif's motivation for presenting this concert stems from his love of Japanese culture and his desire to do something useful to help the survivors of the recent earthquake and tsunami in that country.  

Not only does he study piano, he is also a student of the Japanese martial art, Ninjutsu.

Proceeds from the concert will be donated to the Canadian Red Cross to support their work in helping Japan recover from their crisis.

Tickets are $10.00 each and will be available at the door.」


簡単な意訳:
(地元のリオン・アラティフ君が、日曜日にハドソンのセント・ジェームス・アングリカン教会にて、彼にとって初めてのピアノのソロ・リサイタルを開催します。

日本文化を愛するアラティフ君は、地震と津波の被害に遭った生存者たちの手助けになるような何かをしたい欲求に駆られたからです。

彼はピアノだけでなく、日本武道「忍術」も学んでいます。

チケットは1枚10ドル(千円くらい)で、売り上げは、日本の復興を支援する為にカナダ赤十字へ寄附される予定です。)


この記事を読んだのが日曜日の朝。

コンサートは2時半からスタート。

会場は、義母が通っている馴染みの教会。

うーん。どうしよう? ・・・で、家族会議。

結局、私とDavidの二人で行って見ることにして、じゃあ外出ついでに途中、外で軽いランチも♪ってので、『Le Prep』と言うVaudreuilにあるスープとパニーニの美味しいCaféに寄り道。

*ブロッコリーのクリームスープとサラミのパニーニ*

多分フランチャイズで、インド系の移民家族が経営してるカフェらしいんだけど、パニーニのパンがもの凄く美味しいし、日替わりでのスープ各種もいつもとても美味しいから、固定客も多くいつも賑わっている印象の店。(私のお気に入りでもあるし♪)

Davidと二人でランチを食べながら、週末、家に子供たちだけ残して外出することが可能になった現実が、何だかちょっと非現実的なほどの「身軽な自由さ」に感じて不思議な気がした。

この夏、子供たちは14歳と12歳。(法的に留守番できる歳)

なんだかすごぉーく自分が歳取った感じ。。。しょぼ〜ん。


雨降りの高速道路で事故があったのか?渋滞があったりして、開演予定時間にちょっとだけ遅れて到着。

普段はクリスマス・バザー等のイベントで私たちにとっても馴染みのある教会のホールの真ん中にピアノが置かれ、取り囲むようにして簡易椅子が並べられていた。

まぁ日本だと、ちょっとした「公民館での発表会」って規模かと思うんだけど。

演奏プログラムはこんな感じで。


多分、高校生、、、16〜17歳くらいかな、Leon君。

ピアノの腕前はかなりお上手なんだけど、何しろ、教会のピアノが古くて古くて、絶対音感の無い私の耳にさえも、果たして音が正確に調律されてるのかどうか?怪しく聞こえるような、ちょうどまさに、私の電子ピアノ「クラヴィノーバ」で敢えて「クラシカル・ピアノ」の効果を選択しました、、、みたいな、音がちょっと曇って響く感じで、キーのタッチも何だかちょっとアンバランスな印象。

ちょっと緊張気味だった1曲目から、徐々にリラックスして終盤には割りと楽しんで弾いてる風だった。

色んな曲目を演奏したけれど、私個人的にはやっぱりピアノ曲はショパンが一番いいなぁ〜としみじみ。

まぁバッハもドビュッシーも好きだけど、でもやっぱりショパンは聴くのも弾くのも好きな曲が一番多い、私にとっては。そんな実感。


演奏の合間で、Leon君に宛てて届いた、彼や彼の家族と親しいであろう身内や友人たちからの応援メッセージが読まれたり、彼の音楽講師との連弾披露があったり。

そして最後には、彼のお母さんから花束の贈呈があって感動的な親子での抱擁の場面。

それを"standing ovation"で見守る集まった地元民たち。

こういう場面に居合わせると、つくづく日本とカナダでの社会的な価値観だとか文化だとか、或は学校での初等教育とか、あれこれの違いについて比較して考えさせられてしまうのよね。

これって「日本だったらどうだろう?」みたいに。

果たして、十代の子が、行ったこともない遠い国の為に寄附する目的の募金集めとしてイベントを単独で企画したとして、それを実行するのに必要なだけのサポートが親や地域や、そして地元住民から得られるかどうか?

自己犠牲と言うと大袈裟だけど、ボランティアとか、他人の為に働く意識って、果たして日本では小さいうちから身に付いてるんだろうか?

強い信頼関係で結ばれた親子関係があるだろうか?

個人の目的や行動に対して地域の受け入れ態勢(個人使用でも公共の施設が借りられたりとか)はあるだろうか?

何か得意な能力や才能があれば、それを世間に発表する欲求や充分な自信を備えているだろうか?

私も母親という立場で考えさせられる。


最近の日本での教育を知らないので比較は出来ないけれど、でも、自分が日本で受けた教育と、今現在でのカナダでの教育が、余りにも違い過ぎて衝撃を受けたり、と同時に羨ましく思うことも多い。

顕著な違いは、クラスに20人程度の少人数の生徒と、授業の中に「プレゼンテーション」の場面が多いってこと。

この辺りの子供たちは小学生の頃から常に「自己研究」や「自己発言」「自己発表」の機会を与えられ、オリジナル性とかユニークさの大切さを教えられ、それを主張する方法を早くから学んでる。

だからこそ、Leon君みたいな存在が珍しくもないってことが社会にとって頼もしいことでもあり。

常に「みんなと同じように」と延々、教育されて育った私がここで苦労するって現実でもあったり。


余談で、
仮にもし私が北米での教育を受けていたとしたらきっと、演目終了後に円陣の中央にしゃしゃり出て、感動と感謝の意を伝えるスピーチを華々しく「日本代表」よろしくやってたんじゃないかって思う。


あ、因みに$1600(約133000円)の募金が集まったそう。


2 件のコメント:

ruma さんのコメント...

Hello.

 Lovely your works...
 The interchange of the artistry brings the peace of the heart.

 Thank you for your visit.
 Have a good weekend.

Greetings, and Dear hug.
from Japan.
ruma

Mayumi さんのコメント...

Hello ruma,

Thank you for your comment.

Yes, I visited your site and I really enjoyed your beautiful photos, as well as your calligraphy.
I admire your artistic style and deep knowledge of historical culture of Japan.

Outstanding number of followers of your blog is amazing too. Obviously you inspire so many people all over the world, which is wonderful and at the same time, sort of magical.

Enjoy your weekend too!

Take care,
Mayumi