昨日は晴天の夏日で、外気温は30℃を越えていたのは確実。
そんな中、私は自分でも「何をやってんだかなぁ〜」と自虐的に心の中でつぶやきながら、ウールの毛糸を相手に編物をしていた。
通称「クレイジー・カーディガン」のジャケットみたいに羽織るカーディガンで、部分毎に編んだピースをパッチワークして行って、腰回りはサーキュラーのスカートみたいに30枚の台形を繋げてるから、これが結構な重さで。
久々に「着るもの」としての大作を編んでる私にとっては、ちょっとした衝撃。
着てしまえば苦にならない重さではあるんだけど。
とにかく暑い真夏日でも家に籠って編物が楽しめる住環境で有り難いわ。
何しろ、最後に住んだカナダの家ではエアコンが無かったから。
代わりにプールはあったけど。
とにかく久し振りに編む大作だし、いつもながら行き当たりばったりなデザインなので、終盤の仕上げに取り掛かっても試行錯誤の連続で。
紆余曲折の後に結局、襟を延長させたフードにしてみる事にした。
ほぼ運命的にたまたま手元にあった毛糸が "NORO"のクレヨン・シリーズで、北米でもかなり人気の高い日本製で野呂英作氏デザイン又は監修の糸っぽい。
素材としての毛糸は色や素材感にも色々あって、自分の好みやプロジェクトとの組み合わせやタイミングには、こんなところにも一期一会的なものを感じる。
夜、静かな作業場で独り編物をしてると、その昔、まだ生まれて間もない Erikaに授乳してたその時の感覚が鮮明に蘇り、まるで関係ない行動に思える二つの体験が私にとっては、実はとても似通っている事を実感する。
ひと目ひと目編んで行く寡黙で孤独な作業である編物は、ある意味、瞑想の時間でもあり独特の幸福感に包まれた満たされた時間ではあるのだけれど、その作業は永遠に続く訳でなく、いずれ完成を迎えてしまうという結末に向かって少しずつ進んで行く訳で。
幸せな作業の渦中にあっても、終了した時の達成感と共に感じるのであろう、空虚感のような寂しさを予感してる。
作業から開放されて自由になってしまうと、次は何をしたらいいの?って感じになす術もなく路頭に迷うような心境、大袈裟に言うと。
呆然としてしまいそうな自分が想像出来る。
Erikaとの蜜月のような幸福な時が終わって離乳した時みたいに。
まぁそんな感覚は全てのプロジェクトに通じてる事かも知れないけれど。
万事に始まりと終わりがあるとすれば、与えられたプロセスを存分に悔いなく楽しむしかないんだろう。
先週の金曜日、Erikaは高校の卒業式を迎えた。
500人前後の同級生たちが一緒に卒業した。
残念なのは、卒業式の前日に同級生の一人:Declan君(通称が "Duck")が高速道路のオートバイ事故で突然、この世を去ってしまった事。
カリスマ的で人気者だった彼の突然の死は Erikaをはじめ、多くの仲間たちにとって余りにも衝撃的であり、黙祷を捧げた卒業の式典は一生、忘れることが無いだろう。
卒業式の後、Davidと私は遅い夕食に通りがかった和食レストランに寄った。
市街のレストランなので普段は縁が無いから初めて入った店。
その名もずばり『桜』。
そして、たまたま「卒業キャップ」に Erikaが施したデコレーションも、意外なことにどことなく和風で、桜を思わせる花の飾りだったと言う偶然。
書かれたのは Erikaが愛読する Sarah Dessenの小説からの "Quote"で、
"The Truth about Forever is that it is happening Right Now"と。
Erikaなりに込めた想いがあるんだろう。
因に、私が食べた「弁当」には沢山の天麩羅、鮭の塩焼き、照り焼きチキンが入り、これにご飯と味噌汁、サラダが付いて20ドル前後だった。
昨日は昨日で、Davidと二人でメキシコ料理店にての晩ご飯。
日本料理の倍くらいの量で半分くらいの値段で、やっぱりメキシコ料理って割安感があってお得感いっぱい、ってのを実感。