2014年2月23日日曜日

再び「家、売ります」

北米では人々の移動が激しく、家の売買も頻繁で、、、とは既にもう何度も書いてますが。

「生涯で最大の買物」と一大決心で家を購入し、そこを最初で最後のマイホームとして永年に渡って住み続ける日本の慣習とは大きく違う背景があり、だからこそ、ここでの人々の家に対する接し方や心構え、住まい方や価値観なども当然かなり、日本とは違う訳で。

なのでまず、家を買う際の気負いは日本と比べて低い、かも。

永遠に所有する訳では無いので、最初から執着を持たない、とか。

そういう意味で、家はつまり「箱」と言う捉え方に近かったり?

そして将来、再び売りに出すことを考慮して、その際には出来るだけ値崩れすることなく高い値段で売れるよう、美観や機能の維持に注意を払い、欠陥や問題があれば修繕し、且つ、自分の好みや使い勝手に合わせて手を加えるとしても、その際には世間の動向や売れ筋の傾向なども充分にチェックして取り入れたり、等々。

壁には割りと気軽に素人でも簡単に壁紙が貼れたり、アクリル系の塗料を買って大胆に色を塗り替えれば、気分転換を兼ねた模様替えをすることも可能だったりするから、大型のホームセンターへ行けば壁紙や塗料は勿論、道具や資材が何でも揃う。

壁の模様替えや修繕だけでは飽き足らない人々は、これまた素人でも気軽に部屋の間取りを変えるような「内装工事」までやってしまうので、材料としての 2x4などの材木から、給排水パイプ、照明器具やスイッチ類、洗面台やシャワーホースにシャワーヘッド、キッチンシンクに蛇口、床材のタイルやカーペット材、既製ドア、各種素材のバスタブや便器まで、そして道具として色んな電動工具が初心者用からプロ仕様まで簡単に揃う。

問題は、誰でも簡単に内装工事をやってしまえる土壌な分、素人が無我夢中で知識を得ないままに「素人工事」をしてしまうって場合も多いって現実。

実際に、「あり得ない!」ってくらい、プロの常識では考えられないような手抜きの「やっつけ仕事」がしてあったり、欠陥であるのは勿論、危険を伴ったり、住む人の健康を害するような仕上げが施してある家も実は少なくないらしい。

そんな現実に身を以て直面させられたのが、私たちのカナダの家。

売りに出した後で、地下の欠陥が見つかった。

まぁ確かに住んでいる間、地下が多少「湿気っぽいな」とは思ったものの、地下の部屋と言うのが珍しい日本で育った私にとって、地下室とは「そういうもの」だと思って納得してた節がある。

ので、そう気にも留めなかった。

結局、外部に面した壁に入っているべき断熱材が不十分で、内外部の温度差が結露を招き、カビの原因になっていた。

完全な手抜き工事であり、安普請。

とは言え、壁の内側なんて容易に見える部分じゃないし、家を購入の際に気付く術は殆ど無く。


とにかく当初の理想では、「カナダの家を売ってアメリカへ引越し」だったので、正直、家を売り急いでたから、3番目に家を見にやって来た若いカップルからの購入オファーが決裂した際の落胆は大きく。

その後、地下の欠陥部分を修理する目的で全面的な内装工事をする手配をして、義理の両親に管理を託したまま住み慣れた家を後にするのは、慌ただしさも然ることながら、中途半端な幕切れな感じで、後ろ髪引かれる想いでの引越しだった事実は否めない。

年明けからの内装工事の状況は、義理の父から随時、情報と共に写真も送られて来てたので把握はしていたけれど。


ビザを取得する関係で2週間カナダへ帰省している間に工事が終了したのは本当に完璧なタイミングで、工事現場と化した空っぽの家へ戻り、そこで暮らした想い出を振り返りながら単独で黙々と掃除をする機会に恵まれたのは、私にとってある種、家に別れを告げる儀式のようでもあり、新しい土地で新しい人生を始める為の前章の締めくくりな気がして、感謝の気持ちと満足感でいっぱいだった。

掃除の最終日には、思い掛けず、義理の妹も2匹の犬を連れて駆け付け、家中の雑巾掛けを手伝ってくれたし。

*ガランとした家の隅で私たちの清掃作業を待つ
左:Keva(義妹の犬)と右:Pris(義妹友人の犬)の2匹*
(あ、このリビングの床もリフィニッシュしましたよん♪)


彼女への報酬は、家に残したままになっていた IKEAの簡易家具や掛け時計や小さな消化器などなど。

私たちにとって不要に思われ引越しトラックに積み込まれなかったモノ達が、義妹のアパートで活躍する機会=セカンドチャンスを得られて、お互いにとってまさに Win+Winな状況で、互いにハッピー♪


地下の内装工事としては、外部に面した壁を全て取り去りスプレー式で泡タイプの断熱材を充分に塗布し、新しい壁 'dry wall'を設置+ニュートラル・カラーでペイント、床材も全て新しくし、ついでに壁を一つ取り壊しファミリールームを広くし、階段のカーペットも新しくし、手摺も取り付け、照明器具も新調。



*これが工事前(と同時に引越し前):Before*


*そしてこれが工事の後:After*
(TVの後ろにあった壁がなくなりました!)


*別のアングルから*
(地下のファミリールームとしてTVやカウチを置いたり
子供の遊び場としてオモチャを収納するのに理想的)


そんな訳で、地下に2つあったゲストルーム(ベッドルーム)は一つに減ったけれど、2階にある3つのベッドルームはそのままだし、地下にはもう一つ、オフィス用の部屋も残ってる。

最終的に、ベッドルームが3+1、浴室(フルバスルーム)が3つ、オフィスが1つ、そしてキッチン+ダイニング+リビングルーム、の構成。

裏庭にはロフト付きの物置小屋と、簡易プール付き。

内装工事も掃除も終わり、先週、再び売りに出しました。

どなたか買いませんか?

とか書きつつ、実は売りに出した翌日に家を内覧しに来た最初の女性から速攻オファーあり、と言う、幸先の良い出だしで。

家の売買はギャンブルに似た駆け引きがあり、私たちも(現時点では)焦って売る必要がなく、取り敢えずの経過を見守り中。


8 件のコメント:

Mutsuko さんのコメント...

はーいはーいと北海道にある家なら買いますと言いたいぐらいな我が家。


 北国違いでザンネンですっ!!

何だか北米の住宅事情は住み替え自由な感じが惹かれます~~日本だと何処か一生物的な感じで手に入れちゃうと引越しはもうしません!!って緊張感が・・・・・。


長く転勤族の妻をやっていると私1つの土地に落ち着けるのかな(落ち着きたいけど・・・)と色々心の声も分散して北米へ移民しようかとか夢のような事言っては却下されてます。


 なにはともあれカナダのお家を大事に使ってくれるオーナーが現れると良いですね。手放すとはいえ良い人に住んで欲しいですよねって私の考えですが・・・すいません^^;


おりこうさんに座るワンコがツボで何度も写真見ちゃいました。カワイイ♪

yana さんのコメント...

素敵にリニュウーアルできて・・・良い方が見つかるといいですね。
日本は先祖伝来の土地とか・・・・土地に執着する国民ですよね。
この辺はサラリーマンが返済できる4000万円くらいのお家が売れ筋で、最近では20坪足らずの3階建てのペンシルハウスの建売が主流です。大きなお屋敷跡がいつの間にか小さく刻まれて数件たつのですが、タウンハウスのようにした方がよっぽどロスがなく広いお部屋ができるのではと思いますが、やっぱり土地付き1軒屋になるようです。
日本は売り買いにとても高い税金がかかるのですよ。家を建てたり、買ったりすると、出費がかさむうえに、取得税という税金がたっぷり取られとても不愉快です。だからどうしても住み替えがおっくうになりますよね。
アメリカではペンキやりホーム用品が沢山売られていて、はじめはびっくりしました。
一度ベースメントに日曜大工で子供部屋が完成し、お披露目パーテイーするからと御呼ばれしたことがありました。私も日本に帰ったらペンキ塗りなどやってみたいと思っていましたが、いざ帰るとやっぱり億劫で・・・汚いままです。
そうそう去年カリフオルニアの友人宅を訪れたのですが、あの辺は2階もベースメントもない1階建てでただただ、だだっ広いお家ばかりでした。ところ変わればですね。

Mayumi さんのコメント...

Mutsukoさん♪

あは。
ほんと、家屋的には北国対応でバッチリなんですけどね。(笑
やっぱりいずれは北海道に落ち着く予定なのでしょうか。
何となく興味深いですね。

実際、住み替え自由、改装自由な感じの環境は、色んなタイプの家に住む体験が出来る点では楽しいです。

北米に移住されてるシニアのご夫婦とかもいらっしゃいますよね、実際。
でも、それならば北国よりは南国がおススメ、かな。(笑

ほんと、どうせ売ってしまえば関係ないって話ではあるんですが、その辺りが日本的感情なのかどうか、私も実際、ハッピーな若い家族に住んで欲しいって密かな欲求があったり。
ま、現実には相手が誰であれ、とにかく売れないと困る訳ですが。あはは。

Mayumi さんのコメント...

yanaさん♪

やはり日本ならではの国民性ありますよね。
割りと物事に感傷的に執着すると言うか。
勿論、それは決して悪いという場面ばかりでは無いですが。

うわ〜20坪の3階建てって、凄いですね!
4000万円ってのも、かなりの出費でしょうし。
はやり日本で家を買うのは大変そうですね。
それでも人気は「土地付き一戸建て」って感じでしょうか。

なるほど、税金も高額な負担だったりするんですねぇ〜。
すっかり忘れてましたが。
まぁ、余談ですが、ケベック州で家を購入すると「Welcome Tax」ってのがあって、ウェルカム〜!と言いつつ税金を取るのも皮肉な気がしてます。

家屋は土地柄や気候風土を反映していて興味深いですよね。
この辺りで地下室があるのは寒冷地ならでは、で、コンクリート基礎を深く掘り下げて造るついでに部屋も作るってことのようです。
なので、温暖な気候の西海岸では地下のある家は珍しいか、ほぼ無いみたいですよね。

またまた余談で、ミネソタにあるカリフォルニア風住宅は屋根が平らだったりして、雪の多い気候に合わないらしく、雪解けの頃には雨漏りするらしいです。

まゆみ さんのコメント...

日本と違って、海外での住居探しには、
根本的な部分での穴があったりするってことを頭に入れとかなきゃいけないんだなと、地下の部分を読みながら思った事でした。

でも、こうしてリニューアルされたお家は
きっと大人気で直ぐにでも買い手が見つかるかもしれませんね。

それにしても、このワンコたちは「拭き掃除応援隊」と言うより、「拭き掃除見守り隊」って感じで、笑ってしまいました~。
おりこうさんにして、綺麗な床を汚さなくて良かったですね♪

yana さんのコメント...

Welcome Tax・・・まあ~よく考えたものですね。
私たちもアメリカのように半地下のお部屋をつくりたかったのですが、日本っで地下をつくると地上3階分のお金がかかるといわれて諦めました。掘った土を捨てるのにお金がかかるんだって。おかしいでしょう!
日本は耐震でなくてはいっけなかったり、偽装問題以来いろんなチェックが増え、そのたびに検査料なるものをとられて建築料もアメリカの倍くらいかかります。
本当に気軽にお家を住みかえられるのは羨ましいです。

Mayumi さんのコメント...

まゆみさん♪

家の購入は、その場所によって建築の構造が違ったり、要チェックなポイントが違ったりするでしょうから、下調べは必須でしょうね、きっと。
まずはその家屋が現地の気候風土に合っているかどうか、とか。

地下と言えば、昔、子供の頃、近所に工務店を営むお屋敷があって、そこには地下室があるってので評判だったのを懐かしく思い出します。
とても裕福なライフスタイルって噂と共に、興味津々だったのですが、縁が無く、覗いて見ることも叶いませんでしたが、残念ながら。(笑

ワンコたち、割りと気長に待っていてくれました。
が、床の雑巾掛けとか、教えたら出来るようになるかも?なんて、今ちょっと思いました。(笑

Mayumi さんのコメント...

yanaさん♪

興味深いお話ですね!
やはり日本は国土が狭いのを象徴して、色々とモノを処分するのにお金が掛かるのが大変そうですね。
掘った土の処分も然り、とは。
では、やはり最近でも地下室のある日本の住居は相変わらず少ないかも知れませんね。
気候的にも、梅雨があるし、湿度が高いので、ひょっとしたら合わない可能性はありますが。
あ、そうそう、地震も考慮に入れないとイケナイですものね〜。

キッチンとか浴室とか、簡単な内装工事も北米では気軽に50万円程度で出来たりするのが、日本だと300万円くらいから掛かる気がするのも不思議なところです。
まぁ建築工法がかなり違うってのもあるんですが。