2015年2月1日日曜日

Hyperbolic Crochet Coral Reef

昨日は何だかとっても面白い日になった。

ともすれば一日中パジャマで過ごす怠け者の土曜日になったかも知れないのに。


きっかけは木曜日に届いたステファニーからのメール。

ステファニーは私よりも年配で、テキスタイル・センターで出逢った手芸家でもあり、地元では割りと名前の知れたらしい写真家でもあったり。

そんな彼女、現在はバカンスでコスタリカに1ヶ月間行ってるんだけど、旅先ではモントリオールの夫婦から別荘を借りるとかで、時折、写真を添付したメールが送られて来るのを楽しみにしてるんだけど、今回の短いメールに添付されてたのは写真でなく、ミネアポリスで行われる予定のイベント案内だった。


「数学」と「海洋学」と「環境問題」と「芸術」が一つになった地域活動で、それにキーワードとなる "Crochet"(かぎ針編み)が加わって。

うーん。ちょっとだけ面白そうだけど、わざわざ出掛けて行く程でもないかも。


と思ったら、開場が『MIA』(Minneapolis Institute of Artsが正式名称の美術館)だそうで、実は私、ミネソタに引っ越して来てからずっとこの美術案には何気に興味があったんだけど、出不精な私を敢えて出掛けさせる程にパワフルな口実もなく、ずるずると今まで一度も足を運んだ事なく来てしまった。

うーーん。ちょっとだけ行って見たいかも?でも、やっぱり行かないかも。


なんて思ってたら再びステファニーからのメールで、「どう? 行けそう?」ってので、再度、イベントのウェブサイトを読み返したら、やっぱり何となく面白そうで興味が湧いたし、こんな機会でもないと、しかも誰かしらから背中を押されないと、いつまで経っても行かないまま終わってしまって後悔する、ってな結末が想像されて。

エイやっ!と重たい腰を上げて土曜日の午後、ミネアポリスへと車を走らせた。

普段、市街へはほとんど行く機会も無いので、高速道路では出口を見落として走り過ぎてしまったり、一方通行の道をちょっとだけ逆走してしまったり(直ぐに気付いたけど!)、とかなり冒険的だったり。


初めて訪れた MIAは立派な建物で感動した。

*冬枯れた景色になってしまうけれど建物正面の顔*


私が向かったイベント会場は正面入り口から通り抜けた別の玄関から。


美術館らしく趣のある重厚な建築で、時間を掛けて見て廻るだけでも面白そう。


と、前置きが長くなったけれど、イベントの名称は「Hyperbolic Crochet Coral Reef」と言うプロジェクト。

珊瑚礁のダメージに象徴される環境破壊に導く地球の温暖化に目を向け、数学として幾何学的にかぎ針編みの手法で再現された珊瑚やアネモネや海洋生殖物の芸術を通して、国を越えた人々が協力し合って環境の変化に対する意識を高め、環境保護を訴える、、、というもの。

それぞれの国や地域でヴォランティアがかぎ針編みで珊瑚礁の一部を作るという運動で、作品の一部はスミソニアンでも展示されているらしく、既に10年近い歴史の間では、7000人くらいの人々が「珊瑚作り」に参加したらしい。

主宰者の一人、マーガレットさんのプレゼンテーション。



実際、海の生物たちって、神秘的に綺麗だし。

*まさに海中の花のように色とりどりに綺麗*


このイベントには関連無いけれど、綺麗な写真がいっぱいのサイト。


ファイバーアートの一環として、海の生物を再現するのは興味深い。


そんな訳で、「Myかぎ針」1本を手に出席したんだけど、アーティストって肩書きだけじゃなく「環境問題を意識したアーティスト」って感じの人々の集まりなので、そんな雰囲気ならではのちょっとエキセントリックな人も居て、そういう意味での「人間ウォッチ」も楽しかったり。

それに比べると、私はただの手芸好きなオバさん、って感じの存在感で。


会場で支給された毛糸玉の中から好きな色を選んで、独りで編み始めたんだけど、たまたま何となく引き寄せられるように話し掛けた私と同年代くらいの女性と気が合って、一緒に座って話しながら作業をしてたら、次々と展開する話題がことごとく被って、怖いくらい。

イベントが終了して参加者も主催者も帰ってしまった後も美術館の円形ホールに置かれたソファーに腰を下し、暫しお喋りに夢中になって、二人とも興奮気味に出逢った感動を分かち合いながら、連絡先の交換などして別れた。


彼女を見送った後、私はせっかくなので美術館を見て回ることにして、色んな分野での芸術作品を眺めて歩くうちに広い館内で迷子になった。

お金も払ってもないのに迷ったまま館内を彷徨いながら展示物を「タダ観」しちゃって、どうしよう、、、なんて思いつつ家に帰ってパンフレットを見たら、なんと!あんなに豪華な館内と展示物にも拘わらず、「入館料無料」なんだそうでビックリしてしまった。

凄いな、太っ腹なミネアポリス。


そんなこんなで興奮冷めやらぬまま夕方5時過ぎに帰宅して、イベントの話、プレゼンテーターのマーガレットさんの話、などを Davidにしたら、
「あ、それって、Hyperbolic Spaceの話でしょ?」
とか言い出し、
「マーガレットさんのプレゼンテーション、アトランタで聞いたよ」
ってのでビックリ。

どうやら2〜3年前に招待されて出掛けたアトランタでの数学者たちのカンファレンス『Gathering for Gardner』(a.k.a. G4G)で、同様に招待されたマーガレットさんが数学(特に幾何学)的な観点で、彼女のプロジェクトについての講演をした模様。


世界は広いのか狭いのか、人との出逢いは偶然なのか必然なのか。

何だか面白い。


そして昨日のイベントについて、コスタリカのステファニーにメールで報告したら、とっても喜んでくれて、添付された彼女からの写真も綺麗でインパクトがあって新たな触発を受けた日曜日の午後。



おまけ

かぎ針編みでの珊瑚礁の作品では、こんな可愛いものも見つけた。


海の生物のデザインには無限の可能性がありそう。。。




4 件のコメント:

yana さんのコメント...

いろんな集いがあるものですね。
手芸にもいろんな可能性があるということですね。ちょっと、目から鱗っていうかんじです。
ミネソタは1年でしたし子供が小さかったので美術館行かずじまいでした。ただなら行っておけばよかった~。セントポールのサイエンスミュージアムは子供と何度か行きました。ニューヨークやフィラでは下の子もキンダーに通い始めたので美術館もゆっくり行けるようになりましたけど。

水泳、始められたのですね。週に1度でも全身を動かすことは本当にいいことです。テニスのレッスン取って30年になりますが、めったに風邪すら引かないですもの。頭から足先までびっしょり汗をかくのが良いのだと思います。
最近では転ばず、一日も長く続けることを目的に楽しんでいます。

Mayumi さんのコメント...

yanaさん♪

ほんと、色んな集まりがあって面白いですね。
私たち女性の行動って、やっぱり人生の時期によって大きく左右されますよね、特に子供のいる場合には。
私も子供たちが小さい頃には行き先がいつも決まってたのを懐かしく思い出します。
ランチを持って公園へ、、、ってパターンで。(笑
美術館は縁が無かったですね、言われて見ると。

サイエンス・ミュージアム!外観も立派ですよね。
いつか行って見たいと思っているところです。

テニスを30年間!凄いですね。
びっしょりと汗をかく、と言う機会が日常には無いですから、やっぱりそういうのを欲してる感じです。
汗をかくほどの運動をすると、体も頭もスッキリする気がしますものね。
スイミングも、出来るだけ続けたいと思ってます。

まゆみ さんのコメント...

久しぶりにパソコンに向かってここにやって来ると、なんて可愛い色とりどりのサンゴ礁やお魚の世界!これは、鉤針編みだから成せる技!?って思うような素敵な作品ですね~。

刺激を受けるお友達も出来て、そこからどんどんいい風が吹いて来てるんですね~♪

出逢いはやはり、必然性が含まれているのでしょうね。ご主人も同じ方の講演を聴いてたなんてビックリですよね。

世界は、「負の連鎖」「報復の連鎖」が繰り返されようとしている中で、こういう暖かい世界が広がってゆくのは、本当に嬉しいです。

Mayumi さんのコメント...

まゆみさん♪

かぎ針編みは、本当に融通が利く手法で、色々と好きなデザインを形成し易いので、可能性が無限にあって楽しい気がします。

人やモノとの出逢いは、本当に不思議な感じでもあり、面白いですね。
運命、、、と言うと大袈裟ですが、縁と言うか、目に見えないものに導かれるように感じる事って実際にありますよね。

世の中のニュースは、何かと気が滅入る事が多いですが、どの程度、向き合うかは加減が難しいですね。
無視して自分の世界だけに浸れたらラクですが。
フランスや中東での出来事には無力感を抱きながらも、平和を願う気持ちを新たにさせられてます。